現在45歳、フリーランスで文章を書いたり、自宅でいろいろと創作活動をしているステラといいます。普段は普通の主婦をしています。納棺師副業バイトで月収約20万円を稼ぐことができたのでこの経験についてお話ししようと思います。
私が体験した貴重なバイトといえば、納棺師です。納棺師は非常に特殊な職業で、求人してもなかなか人が集まらなかったり、すぐ離職してしまったりで、定職率が非常に悪い職業の一つと言えます。
あまりの人手不足のため、友人から助けてくださいとオファーが。その当時から自営で仕事していた私は、時間的には余裕があったので、不安はありましたが、友人の頼みとあっては断れませんので、その仕事を引き受けることにしました。
納棺師バイトの仕事内容とは?
納棺師と言っても、実際にやることといえば、故人様のお手当(鼻や口に綿詰めをしたり、キズ口を処置する)、湯灌(故人様をお風呂に入れる)、着付け(仏衣に着替えさせる)、送り化粧(メイク)、納棺まで。覚えることもやることも山ほどあり、いくら副業とはいえ、最初のうちは頭がパニックになってしまいました。
普通の感覚の人が就く仕事としては、ハードルが高過ぎます。精神力、体力ともに必要であるため、離職率が高いのもうなずけるなあと。
実際の仕事内容はどんなものだったかというと、まず、故人様が安置されているお部屋へ出向くのですが、ここでもご遺族様に失礼のないよう振る舞わなければいけません。言葉遣い、所作などすべてにおいてです。
そして故人様の納棺作業に入ります。ここでまず難関なのが、どんな状態の故人様を見ても大丈夫な人でなければいけません。そこでまず適性が分かれます。
決してきれいな状態の故人様ばかりではないことを肝に銘じなければいけません。故人様のお手当をする時も、故人様の体に綿を詰めたり傷口を見ても抵抗がないことが絶対条件です。
素早く的確に決して傷つけることなく行わなければなりません。
私はこの時間が一番抵抗があり、このお手当をマスターするのに私はすごく時間がかかりました。一つ終了するごとにぐったりで最初の数週間は食欲すら湧きませんでした。
お手当だけは、何せ事前練習も出来ませんしね。湯灌、着付け、メイク、納棺はとりあえず一生懸命練習に励めばいずれ出来るようになります。
働いていたのは半年ほどでしたが、そんな私でも、その頃には一通りのことはマスターできるようにはなりましたよ。
納棺師の仕事をやって感じたこと
納棺師と言う職業は、その日一つ一つの納棺作業が一発勝負です。失敗は許されません。人生で一度しかないイベント?ですから。だからスタッフは毎日毎日、湯灌や着付けの練習を遅くまでやります。
一通りのことが出来なければ、納棺師としては使いのもになりませんから。1回の納棺時間も決まっています。
だいたい一連の作業を1時間半〜2時間くらいで終わらせなければなりません。
時期によっては仕事が立て込んで、次々納棺が控えている時もありますから。でも決してご遺族様にはバタバタと急いでいる仕草を見せてもいけませんから、焦っているのに焦っちゃいけないというジレンマがいつもあります。それが自然にできるようになるとプロを呼べるのでしょうね。
私はバイト扱いながらにも、作業がトロくていつもいつも怒られてばかりいました。
必ず事務所に帰ってからはその日の状況を報告し、ダメ出しを食らいます。その当時は、だって出来ないんだもん、という気持ちばかりが強かったですが、今思うとそれがプロとしての責任であり、優しさだったのかなと改めて思いましたね。
もしもですが、看護婦さんが、『だって出来ないんだもん』と言って注射しなかったら‥。お医者さんが『だって出来ないんだもん』と言って手術しなかったら‥、と思うと恐ろしくありませんか?
そのくらいのレベルで納棺師の方々は仕事に対しては超超キビシイです。
それぐらい責任が伴う仕事だと思います。『おくりびと』見て、憧れるレベルじゃきっとやってはいけないでしょう。その代わりと言ってはなんですが、お給料はバイト扱いにしては相当良かったんじゃないかと思います。
ボーナスもしっかり出てました。副業としてみれば、納棺師と言う仕事は、副業レベルではないくらいプロフェッショナルなお仕事でしたが、これから社会人として副業などを考えているみなさんに、一つアドバイスするとしたら『副業』だから手を抜くという意識は捨ててください。それが本業も副業も成功させるコツです。
どんな仕事でも、学ぶことはたくさんありますから。