東京都在住の26歳、独身です。現在は、某版元で編集者をしています。まだまだ修行中で、日々勉強といったところです。地下鉄線路内での測量の副業バイトです。日給で8,000円程でした。今回は実際に仕事をしながら経験した私の副業体験談を語ろうと思います。
測量助手の副業バイトの仕事内容とは?
シンテイトラストという派遣会社を通じての仕事でした。測量の資格を持ったプロの測量士さんお2人と一緒に、東京メトロ東西線の竹橋、大手町間に入っていき、ひたすら測量をしていくという仕事でした。
5メートルごとに白線を引いていき、その白線の真上に、スタッフと呼ばれるバーを立てます。スタッフが線路と垂直になるように、気泡管水平器のなかの気泡が、ちょうど真ん中に来るように意識を集中させます。
300メートルほどの区間を5メートルごとに移動していくのですが、意識を集中させるため、時間はあっという間に過ぎ去っていきます。
線路は2路線、4本あるので、合計で1キロ強、意識を集中させ続けることになります。この作業は、三角関数を使って、線路の歪みを計測するための作業です。
東西線の竹橋、大手町間はカーブしており、線路への負担がかかりやすいと言います。乗客としてその上を通過する際は、車体が揺れるので、ポイントがわかると思います。
スタッフを立てる作業が終わると、今度は10メートルの糸を使って、線路の歪みを再度計測します。糸を最初に引いた白線に近づけて、線路に沿ってピンと張ると、線路自体が湾曲しているため、ちょうど半分の5メートル地点にすきまが生じます。
このすきまの幅をひたすら計測し、前回計測値、前々回計測値との誤差を調べていきます。2ミリずれていると、戻って重点的に調べていきます。
歪みが見られるときは、報告して修理するとのことでした。ちなみにですが、JR北海道の電車脱線事故の際はその10倍以上の歪みがあったと噂されています。
線路は、円滑に電車が通過できるよう、電車を感知して黄色い潤滑油が噴出するようになっています。
普段の生活の中で、線路の中に入ることはないので、電車が動くときにどのようなことが起こっているかを知れたことは良かったと思います。
測量バイトの大変なところと面白いところ
キツイところは、終電が終わって保線が終わった後の作業になるので、深夜の業務になるところです。終電に乗って現場を目指し、そのあと駅で待ちぼうけをくらうので、暇を潰せる本や雑誌などを持って出かけていました。
また、線路内は普段人が侵入することを想定していないので、足場が悪いです。
さらに、潤滑油でドロドロしたところがあり、衛生的には良いとは言えません。意外だったことは、ネズミやゴキブリなど不衛生な生物がいることを覚悟していたのですが、生物をみることは一度もありませんでした。
加えてキツかったことは、作業が始まると、線路内に侵入している人が何人いて、どのように出入りしたかを記録する必要があるため、トイレに行くたびに相当な手間とロスをかけることになることです。
私は休憩時間以外にトイレに行くことはありませんでしたが、体調が悪かったりなどコンディションが万全ではない状態で線路内に入ると、周りの皆さんの足を引っ張る可能性があります。
楽しかったこととしては、終電後の駅は閑散としており、普段は人が行き来している都心の駅を独り占めできるところです。
作業服に着替えるとどうせ汚れてしまうので床に寝転がってみたりして、時間まで一人で遊んでいました。
また、線路内に立ち入ることは普段であれば絶対にないので、線路内から見上げるホームやホームの光を遠くに見ながら作業するのは非常に楽しかったです。洞窟のようになっているので、ゲームやアニメの中の世界のようでした。
また、電車の乗客としてその路線を使う時も、車体が揺れると、「ここだ!」と一人ほくそ笑むようになりました。
他の路線に乗っても、車体が揺れると「きっとここも誰かが測量をして、安全を守っているんだろうな」と思うようになりました。
一番やりがいを感じたのは、このような作業が人の命を守り、安全・安心の暮らしを担保しているのだなと感じた時です。
昼夜が逆転するような仕事をしてくれている人のおかげで、今日も安心して暮らせるのだと思うと、胸が熱くなります。